【ハルタ volume75 感想①】クプルムの花嫁、東京城址女子高生、夕凪に舞え、僕のリボン、ライカの星、金曜日はアトリエで

 今月号のハルタの感想です。
 後ろカバーは「日本ニュー古生物紀行」。マニアックな図鑑みたいな内容は結構好きです。


・namo「クプルムの花嫁」
 新連載二話目。作品の表現が硬いとじいちゃんから指摘された修が、柔らかさを探す回。
 結局いろいろ探した末、しいなのほっぺの柔らかさにたどり着き、次の作品につなげるというベタな展開でした。この新作の茶釜、一体いくらするんだろう。
 修のばあちゃんが、小さい頃からしいなのことを知っていて、口うるさいながらも良き理解者だったのが良かったです。

・山田果苗「東京城址女子高生」
 亜子がお台場デートに憧れる友人に誘われ、3人組で品川台場の史跡をめぐる話。未完成のまま使われることなく160年間放置された台場に思いを馳せる情景が、都会の喧騒とかけ離れていてしんみりしました。
 全然意識したことがなかったけれど、たしかに台場というからには砲台場だったわけですね。見る目が変わります。もう長いこと行っていないけれど、近場に行く機会があったら少しは意識してみよう。
 あと埼玉県民の友人が東京に強烈に憧れを抱いているけれど、せっかくだからみんなで埼玉の史跡をめぐって地元愛に目覚めれば良いのにと思いました。

・黒川裕美「夕凪に舞え、僕のリボン」
 不在がちの父を心配する凛太郎と姉の美佳の回。実は父は凛太郎を大阪の中学に行かせようと、こっそり出稼ぎに行っていたことがわかります。
 不器用ながら互いを思いやる父と凛太郎も良かったのですが、父がかつて美佳に水泳をやめさせたことを後悔していたことが描写されたのが、個人的には一番良かったです。主人公には焦点が当てられるし、最終的には活路が開けるわけですが、その陰で報われることのなかった人々というのも、きっと結構いるわけで。そして現実は往々にして、報われなかった側に事が進むものなのでしょうから。

・吉田真百合「ライカの星」
 新連載。かつてソ連の実験機で宇宙に打ち上げられた犬のライカが、人類に復讐するためにはるばる地球へ還ってくる話。今は復讐心に燃えているライカが、故郷で一体どんな体験をしなにを思うのか、というのがテーマのよう。
 従順で優秀だったために片道切符で宇宙まで打ち上げられた犬という題材は、なんというか胸にこみあげて来るものがあります。動物実験も屠畜も現実にはいくらでもあるのに、宇宙へ飛ばされる犬だけを同情しても仕方がないのですが。それでも犬は従順なばかりに、いっそう哀愁が際立つ生き物だと思います。

・浜田咲良「金曜日はアトリエで」
 先生が化粧ポーチをデザインする回。おそらく環に出会ってから、作風が微妙に変わって一般に受け入れられやすくなったようです。
 「支持層が広がり、画集も重版がかかり、ほうぼうから仕事の依頼が来る」画家って、ものすごくないですか。私は美術というか、芸術全般に疎い人間な故、現在日本で活躍している画家を一人たりとも挙げられません。つまり、日本で一番支持されている画家であろうとも、興味のない一般人への知名度はその程度だということです。
 私が知らないだけで絵画に明るい人の層って実は結構厚いのでしょうか。それとも本作の世界では、美術が庶民にまで普及しているのでしょうか。


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