【ハルタ volume76 感想①】生き残った6人によると、山を渡る、夏にビードロ、夕凪に舞え、僕のリボン、金曜日はアトリエで

 今月号のハルタの感想です。



・山本和音「生き残った6人によると」
 新連載第一話。突然ゾンビだらけになった街で、ショッピングモールに逃げ込んだ6人による緩い日常が始まります。
 同じ作者さんの前作「星明かりグラフィクス」の主人公の一人がホラーもの好きだったけれど、作者さん本人がたぶんゾンビものが好きなのでしょうね。
 うまいこと二十代男女だけが集まったもので、籠城直後から登場人物らが恋に浮かれ始めます。「なんでこんな時に恋なんてするのか」という主人公の問いに、「こんなときだからこそ恋をする」と一人が答えるわけですが。実際、非常時にはこういう行動に出る人は多そうだなと思いました。
 サバイバル&ラブのお話とのことなので、いずれ水や電気や食料がなくなったりして本格的にサバイバルしたりもするのでしょうか。今のところ優雅な日常を送っていますが。

・空木哲生「山を渡る」
 先輩部員三人とOBによる本格的なクライミング回。
 いろいろな崖の登り方や、安全確保の方法が出てきて興味深かったです。支点を作れず進むしかない危険状態をランナウトと言うそう。なにもない壁に自分でハーケンを打つことってできないのでしょうか。
 山は天候が崩れたら潔く引くのが大事ということで、黒木の執着と危なっかしさが見えた回でした。植村直己さんはじめプロも実にあっけなく亡くなっているし、山は命の危機と隣り合わせなのは事実でしょう。家族に登山家がいたら気が気じゃないな。

・佐久間葉「夏にビードロ」
 読み切り。ガラス職人の女子高生と青年記者との交流話。
 銅叩きとか靴とか醸造とか、ハルタは職人ものが多い印象です。以前は鞄とかもあったし。そんなわけで、作者さんならではの味付けがもう少し欲しいような気がします。
 あと個人的な話ですが、こういう職人とか芸術家ものが出るたび、はたして登場人物たちがそれで生計を立てられているのかが気になってしまいます。まぁ、資産家でお金に困ってないというケースもあるのかもしれませんが。

・黒川裕美「夕凪に舞え、僕のリボン」
 遠くの中学で新体操を続けるため、家事を手伝う凛太郎とカキ打ちのバイトを始める姉。そんな子供たちを見て、父が漁師仲間に土下座し、金を貸してくれと頼みます。
 良い展開ですが、現実の大学生の奨学金とか教育ローンの問題を知っていると複雑な心境になりました。新体操では大学進学以上に、将来の収入には結びつかないだろうなぁと。漫画だから良いのだけれど。

・浜田咲良「金曜日はアトリエで」
 先生と美大時代の友人たちの回。友人たちは画家にはならなかったけれど、画家になった先生の力になってくれている様子。
 社会人になってもここまで協力してくれるのは、相当の人望がなければ無理だろうと思います。先生はコミュ障っぽいですが、よくぞここまで慕われたものです。






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